マンション管理士 = 毎野 =

みらいネットのメリットと効用

投稿日時 2007-4-9 0:00:00
執筆者 ymaino
「みらいネットの概要」については、こちら を参照ください。
 みらいネットへの登録は、現在は関心のある管理組合さんの少数に留まっている様相ですが、登録が一定数を超えてくれば、その後は普及に拍車が掛かってくるものと思われます。良くできたマンション履歴システムで、マンション購入予定者、所有者、管理組合にとって以下のメリットがあります。しかしより一層の普及にはシステムの改良や行政による施策も今後必要になろうかと思います。

■みらいネットのメリット
1.管理状況の良好なマンションの購入
 購入予定者は、登録データが公開されることにより中古マンションの売買に際して、管理状況や過去の修繕内容などを把握検討した上で、管理状況の良好なマンションを購入することができるようになります。たとえばマンション購入直後に、修繕のための一時負担金の可能性があるマンション、機械式駐車場がほとんどのマンションで機械式装置取替のための一時負担金が将来発生するおそれのあるマンション…などを管理状況から知ることが出来るようになります。

2.資産価値の維持
 所有者にとって最も期待する効用は、評価の高いマンションとなれば人気も下がらず、資産価値の維持につながることでしょう。組合員は、自宅に居ながらインターネットを通して、上記の管理データや電子化書類をいつでも簡単に見ることが可能となり、組合スケジュールの案内や防犯の呼びかけのお知らせなど、理事会から組合員への情報提供も可能となり、コミュニティ醸成にも一役果たすことが期待できます。

3.管理組合の運営努力への評価
 今までは管理組合の役員さんは、努力はすれど報われない、皆に喜ばれないといったイメージありますが、今後は、「現在の管理運営状況と管理標準指針との比較一覧表」を通して客観的に管理組合の努力が評価出来るようになり、評価によって組合運営活力の源泉や新たな目標に対するモチベーションにつながることが期待できます。

■みらいネットの効用と活用
1.管理組合が保管管理すべき書類の整備促進
 みらいネット登録時に参照する必要書類があります。経年の小規模マンションでは保管スペースの関係で、相当数の書類が管理会社に保管されているのが現状だと思います。管理組合が保管(または保管場所を把握)すべき書類として設計図書や修繕等の履歴情報があり、特に設備担当の理事さんが補修や修繕工事等の原本書類をお持ちの場合は、確実に次期理事さんに引き継ぐか、指定された保管場所に保存するなどの取り決めを管理組合の運営ルールとして定めておくことが肝要です。そうしないと、いつの間にか過去の修繕履歴を示す文書が散逸して行方知らずともなりかねません。管理会社任せにせず、役員の交替の際にも保管すべき書類及び保管場所を引き継ぎ事項とするように運営ルールを定めておきましょう。分譲が適正化法の施行(平成13年8月1日)以前のマンションで設計図書等が管理組合に交付されていない場合、分譲会社や管理会社が保管している場合がありますので確認しておく必要があります。

2.広報機能の充実
 インターネットのページ内にご自分のマンションの組合員だけが見られる掲示板を設けることができます。組合スケジュールの案内や防犯の呼びかけのお知らせなど、理事会から組合員への情報提供も可能です。一般の管理組合員は、自宅に居ながらインターネットを通して、上記の管理データや電子化書類をいつでも簡単に閲覧することが可能となります。
 課題もあります。現状はネット利用に際し、管理者からの書き込みのみの一方向型で、組合員は閲覧に限られています。一般組合員側からの投書箱のたぐいはあってもよいかもしれません。また現行ではファイルを添付できる機能がありませんので、管理者が文書ファイルや写真を掲示板に載せることができません。管理者のパスワード等の管理負担を考えるとやむを得ないかもしれませんが、コミュニティ醸成まで含めた広報という観点からは今後検討する余地はあると思います。
なお、パソコンが利用できない方には情報格差が生じるおそれがありますので、従来の広報等を併せて行うなど、十分配慮する必要があります。

3.経年マンションにおける管理状況の把握推進
 住生活基本計画(全国計画)では、既存マンションに係る基本施策として、『共同での管理が必要な分譲マンションについて、適切な維持管理及び計画的な修繕を促進するため、マンション履歴システムの普及を図るとともに、増築、改修や建替えにより老朽化した分譲マンションの再生を促進する』、『既存住宅の管理状況等を考慮した合理的な価格査定及び管理状況や不動産の個別の取引価格に関する情報の提供を促進する』と謳われていることは経年マンションにとって注目すべき点です。
 管理組合も関心派・無関心派に二極分化しつつある中、いわゆる「眠れる獅子派」の管理組合にとって、公開によって返って資産価値が下がるのではとの危惧から、管理状況が公開される現状でのみらいネットへの参加は殆ど望めないと見るのが妥当なところではないでしょうか。「眠れる獅子派」の管理組合に対して、行政によるみらいネット登録支援や一定の義務化など対応策が課題です。住生活基本計画の趣旨に沿って行政支援等を受けざるを得ない経年マンションに対しては、登録情報を一定期間は非公開とするなど考慮し、みらいネットを活用した行政あるいは第三者によるマンション管理状況の把握推進が急務ではなかろうかと思います。

 普及が進むに連れ、管理組合の管理状況への関心も高まり、適正に管理しなければという機運にもなっていきます。経年マンションであって現に管理に関心の高い管理組合さんであれば、みらいネットへの参加を検討するだけでも十分価値はあると思います。

 ちなみに、昨年12月登録時と今年3月更新時に、ある管理組合さんのみらいネット登録に補助者として携わる機会がありました。登録シートへデータを事前にご記入いただき、参照資料がほぼ整っていれば、確認に要する日数は3日程度になるかと思います。




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